第二十四話“神威 2”


「はあっ!」
グシャッ
「このっ!」
ガシャッ
「とおりゃあああ!」
ベチャッ
「ふざけやがって!・・・皆殺しにしてやるぜっ!」
ズザザザザアアアア
1人の少年の叫びが聞こえる
辺りには悲鳴がこだまする
「やめろ!煉羅!」
「兄貴!なぜ止める?」
「お前がやろうとしていることは虐殺以外の何ものでもない」
「こいつらが裏切ったんだぞ?今までの恩を仇で返しやがって」
「違う。彼らは弱いから・・・」
少年が他方をつかみかかる
「そうだな、弱い。だから、武器を手にしたくらいで僕たちを殺そうとするんだ。こんな奴ら、僕が消してやる!」
「やめるんだ!」
ババババババババババ・・・・・・・・・
ドドドドドドドドドド・・・・・・・・・
そのとき、銃火器の音が鳴り響いた
「がはっ!」
「煉羅!?」

「ここまで来ればなんとか。煉羅、大丈夫か?」
「ああ、なんとかな。致命傷ではないみたいだ。・・・ここまでされても、あいつらを信じるのか?」
「・・・そうだ」
「・・・」
バババ・・・
「もう来たのか!」
ドガガガガガガ・・・
衝撃が『人』を襲う
「なっ!漢羅(かんら)!?・・・どうして?」
「・・・お前らはまだ若い。10にも満たないその体で、死に急ぐことはないさ」
「その全身の傷は?・・・まさか天羅(てんら)に!?」
「あいつは最後まで反対したよ。だから・・・こうする以外、手段が思い浮かばなかった」
全身傷だらけの漢羅の手は、別の者の血でまみれていた
「そ、そんな・・・」
「神羅、もういいだろ?炎羅と天羅の想いも酌んでやれ。
 あいつらはお前らを心配したからこそ、こういう行動を取ったんだ。
 俺も根本的にはあいつらと変わらない。『人』を信用してはいない」
「こんな・・・こんなことになるなんて」
神羅を後悔の念が支配する
「『神のほこら』に行け!あそこにある神殿・・・あれは宇宙船だ」
「なんだって!」
「間違いない。ようやくわかったんだ。
 あれは太古の昔にこの星にたどり着いた船だ。起動方法もわかった。準備はできている。
 もうこんな星は十分だろ?この星から脱出するんだ!・・・行け!行って生き残れ!」
「漢羅!」

「もうすぐだ。もうすぐたどり着く」
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
ドサッ
1人の少年が倒れた
「煉羅!・・・そんな、こんなに出血が・・・」
服は真紅に染まっていた
少年の腹部からは大量の血が流れていた
「兄貴・・・兄貴だけでも行ってくれ!」
「そんなこと、そんなことできるわけないじゃないか!」
「兄貴・・・」
「一緒に行くんだ・・・いいか?」
「ふっ。わかったよ」
パーーーン
乾いた音が響いた
たった1つの乾いた音が
「・・・え!?」
「ぐはっ」
ドサッ
「そ、そんな・・・きさまあ!うわあああーーー」
ズザザザザアアアア

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