第十二話“二つの星” 目の前に光る星が見えた その星の周りにはいくつかの星が浮かんでいる そのうちの2つは、周りの星とはひときわ異質な雰囲気を放っているのを感じた それらの星は青白く輝いていた 一方の星にどんどん近付いていくのに気がついた 体中に凄まじい圧力がかかっているのがわかった どんどん加速していた どんどん、どんどん、どんどん・・・ そして目の前が赤く包まれた 恒星が浮かんでいる その恒星の周りを複数の惑星が飛びかっている 惑星は自分の定められしルートをただひたすらに進んでいる ただひたすらに その中に生命を育んでいる惑星がある その惑星から進化の歴史は始まった 生命は進化を繰り返し、やがて知能を持つ生命体を生み出すに至った 彼らはその驚異的な知能を持って、繁栄を極めた 星に眠るキャパシティーを最大限に生かし、自分たちの生活を豊かにして行った そんな中、一部の天文学者と物理学者はその存在を予言していた もうひとつの惑星の存在を 宇宙に人工衛星を飛ばせるだけの技術を手に入れたとき、とうとう彼らはそれを発見した 恒星の後ろに存在する惑星 彼らのいる惑星と同一公転軌道上を通っていたが、恒星の光の影に隠れていたためにその存在を長きに渡って認識できなかった 彼らは自分たちの星を『ファースト・アース』、新しい星を『セカンド・アース』と名付けた 人工衛星で調べた結果、ここにも生命の営みが存在していた ただし、知的生命体の存在は確認できなかった その後十分なときを経てから、彼らの一部は新惑星『セカンド・アース』に移った ある程度環境の破壊と資源の採掘が進んでいた『ファースト・アース』とは異なり、『セカンド・アース』には手付かずの自然が広がっていた 彼らはここをパラダイスと称し、『ファースト・アース』の二の舞にはならないようそれまでの失敗例とノウハウを駆使し、厳しく管理した ここに『ファースト・アース』『セカンド・アース』別々の歴史が始まった だがそれは同時に滅亡への序曲でもあった これと並行して、宇宙での活動拠点の1つとしてコスモステーションの建造も行われた また『ファースト・アース』の衛星のひとつ、月には巨大な基地も建設された これらは主に研究目的用であり、ここで彼らの技術力は飛躍的に向上した 時が進むに連れ、『ファースト・アース』の環境は破壊され、資源は浪費され続けた もはや再生不可能な段階にまで陥った 『セカンド・アース』との余りの境遇の差に彼らは頭を抱えた だが彼らはここで愚かな道を選択する 『ファースト・アース』の民は『セカンド・アース』との交流を遮断する決定を下したのだ 『ファースト・アース』の民は進化の歴史が始まったこの星を『始まりの星』と呼び、 『セカンド・アース』を歴史の破滅と称して『終わりの星』と呼んで揶揄した その実態はあまりにかけ離れていたが そして『ファースト・アース』の民は、最悪の決定を下すことになる 開戦である 開戦当初、『ファースト・アース』軍が一方的な展開を見せつけていた 技術的な差はあまり見られない両者の戦闘機だったが、戦闘員に差があったようで、局所戦では次々と『セカンド・アース』軍を撃破して行った この一連の戦闘により『ファースト・アース』軍が圧倒的な優位に立った だが『セカンド・アース』軍には切り札があった 重爆撃型機動兵器“リトファイズン”である リトファイズンの前線投入により、戦況は流動的になり、戦争がどう収束するのかまるで不透明になってしまった そんな中ある異変が起こる この異変が2つの星の運命を決定付けることになろうとは、この時点では誰も予想していなかった